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2025/03/25
破産管財事件を回避し、同時廃止になった事例
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィスでは、破産事件に力を入れており、法人・個人を問わず日々多数のご相談をお受けしております。以下、当事務所長崎オフィスで取り扱いした事例をご紹介します。
破産手続きは、お金の問題で困っている人々にとって大きな救いとなる手段ですが、今回は、どのような理由でこの手続きが取られることがあるのか、実際の事例を交えて解説します。
まず、同時廃止とは、破産申立てと同時に破産手続きを廃止することを指します。通常、破産手続きが開始されると、債権者がその後の手続きに関与し、財産の管理や配分が行われます。しかし、債務者に財産が全くない場合や、破産の理由が特に軽微であると認められる場合には、同時廃止が許可されることがあります。
事例紹介: Mさんの場合
Mさんは、数年前から自営業を営んでいましたが、コロナ禍による影響で事業が立ち行かなくなり、借金が膨らんでしまいました。そんな中、当時の従業員から独立したいが自分の名義ではお金を借りられないのでMさん名義で借りてほしいと相談をうけ、Mさんは沢山お世話になった元従業員のために借入れをすることにし、元従業員のもとで非常勤として働くことになりました。
しかし、元従業員が設立した会社もなかなかうまくいかず、元従業員も生活が厳しくなり、だんだん貸付金の返済をしてもらえなくなったため、Aさんはついに「破産申立て」を決意しました。そのときにはもう、Mさんは資産もなく、返済能力もない状態でした。
そんな中、Mさんは山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィスの弁護士に相談し、弁護士から助言を受け、破産申立ての手続きを選択しました。これは、Mさんのような状況においては、手続きが迅速かつスムーズに進むため、非常に合理的な選択であるといえます。
しかし、聞き取りを進めていく中で、過去に破産経験がある事が発覚したので、できるだけ管財事件にならないように、当時の詳細をしっかりと聞き取りました。また、今回の破産原因である元従業員への貸付金を回収できない事を証明するために、詳細の説明および元従業員の現状、会社の状況を調査し、裁判所へ報告しました。
結果として、Mさんは手続き後すぐに免責をとることができ、新たなスタートを切ることができました。
破産申立手続は、特に経済的困難に直面している人々にとって、非常に効果的な方法です。Aさんのように、しっかりとしたサポートを受けて手続きを進めることで、新しい人生を歩むことが可能になるのです。弁護士の助けを借りることで、自分の状況に最適な選択を見つけることができます。
債務の問題で悩んでいる方々にとって、破産申立手続の存在を知っておくことは非常に重要です。再起への第一歩を踏み出すために、ぜひ一度弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所へご相談ください。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィス
支店長弁護士 寺町直人
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2025/01/25
配偶者暴力等に関する保護命令申立について
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所 長崎オフィスでは、初回無料で様々なお困りごとについての法律相談を承っております。
ご相談者の中には、配偶者もしくは内縁のパートナーからの暴力に悩まれている方も多くいらっしゃいます。
今回は、近年、法改正もなされて、認められる範囲が広がった「配偶者暴力等に関する保護命令申立」について、お話させていただきます。
1 はじめに
保護命令制度とは、「配偶者や生活の本拠を共にする交際相手からの身体に対する暴力等を防ぐため、被害者の申立てにより、裁判所が、加害者に対し、被害者へのつきまといをしてはならないこと等を命ずる命令」を裁判所に求めるものです。
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律(令和5年法律第30号。以下「令和5年改正法」という。)が令和5年5月12日に成立し、同年5月19日に公布されました。令和5年改正法は、一部の規定を除き、令和6年4月1日から施行されました。保護命令申立に関する法改正があり、令和6年4月1日以降、以下の通り、認められる範囲が拡大しました。
(1)申立ができる被害者の対象
接近禁止命令等の申立てができる被害者は、
・身体に対する暴力(実際に殴る・蹴るなどの暴力)を受けた者
・生命・身体に対する脅迫(「殺すぞ」などといった生命・身体
に対する害悪の告知による脅迫)を受けた者
に限定されておりました。
法改正後では、申し立てができる被害者に、「自由、名誉、財産に対する脅迫を受けた者」が追加されました。
加えて、命令の発令要件が以下のとおり拡大されました。
改正前)生命・身体に対する重大な危害を受けるおそれが大きいとき
改正後)生命・「心身」に対する重大な危害を受けるおそれが大きい
とき保護命令の種類の拡大
(2)「被害者への電話等禁止命令」の対象行為の追加
従前の対象行為に加えて、以下の行為の禁止を求めることも可能となりました。
・緊急時以外の連続した文書の送付・SNS等の送信
・緊急時以外の深夜早朝のSNS等の送信
・性的羞恥心を害する電磁的記録の送信
・GPSを用いた位置情報の無承諾取得
さらに、「被害者の子への電話等禁止命令」が新設されております。
対象行為は、「行動監視の告知等」「著しく粗野乱暴な言動」といった8つの行為です。
(3)命令の有効期間の伸長
被害者への接近禁止命令の有効期間が6か月から1年に伸長されました。
また、退去等命令の期間は、原則2か月ですが、住居の所有者または賃借人が被害者のみである場合、被害者からの申立てにより6か月とする特例が新設されました。
(4)厳罰化
保護命令に違反した者に対する罰則が、「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」から、「2年以下の拘禁刑※または200万円以下の罰金」へと加重されます。
※2025年5月31日までは「懲役」。刑法等の改正に伴い、2025年6月から「拘禁刑」。
2 申立の方法について
(1)事前相談
まず、配偶者から暴力を受けた方(以下、「被害者」といいます。)が、保護命令申立を行うためには、事前に警察や配偶者暴力相談支援センターに相談をすることが必要です。
これは、相談機関へ赴いて相手方からの暴力を受けたことについて、申立書に、相談した事実を記載しなければならないためです。
事前に相談なき場合には、公証人役場において相手方から暴力を受けたことなどについての申立人の供述を記載し、その供述が真実であることを公証人の面前で宣誓して作成した宣誓供述書を保護命令の申立書に添付する必要があります。
(3)申立書の作成
申立書には、申立の趣旨(退去命令、接見禁止、電話連絡等禁止、子への接近禁止、親族等への接近禁止等、どの範囲での保護命令を求めるか)および申立の理由(相手方との関係や、どのような暴力等があったかについて、保護命令の必要性)等について記載します。
(4)必要書類
申立書は、正本(裁判所用)と副本(相手方用)の2部をご用意します。
また、添付書類として、当事者の戸籍および住民票、その他にも、
・退去命令を求める場合には建物の登記の現在事項証明書や
賃貸借契約書等
・15歳以上の子への接近禁止や親族等への接近禁止命令の
申立てをする場合には同意書
・生活の本拠を共にする交際の場合(婚姻関係における共同
生活に類する共同生活を営んでいない者を除く。)は、
生活の本拠を共にする事実を証明する書類
の提出が必要になる等、事案によって必要書類が異なるため、確認が必要です。
加えて、診断書・写真・陳述書などを証拠として提出いたします。
(5)申立手数料等
申立の手数料として、収入印紙1000円が必要となります。
また、相手方への副本送達用の郵券を付する必要があります。
3 申立から申立後の流れ
申立書等一式は、管轄の地方裁判所宛に提出します。
保護命令申立の管轄は、(1)相手方の住所(日本国内に住所がないとき又は住所が知れないときは居所)、(2)申立人の住所又は居所、(3)身体に対する暴力等が行われた地のいずれかとなります。
申立書を提出した後は、被害者の審尋期日が指定されます。これは、裁判官が、申立書等をもとにして申立てについての詳しい事情の聞き取りを行うためです。
その後、原則として約1週間後に、相手方のみの審尋期日が指定され、相手方が裁判所に呼び出されます。
相手方審尋を一度開催することで十分な心証を得られたときは、その期日において保護命令が発令されることがありますが、双方の言い分が大きく異なっているときなどは、改めて申立人及び相手方から詳しい事情をお聞きするために更に審尋期日が指定されることがあります。
双方からの詳しい事情を確認後、裁判所により、保護命令の申立てについての決定がされます。
4 最後に
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所 長崎オフィスでは、配偶者等からの暴力に関するご相談から、婚姻関係や内縁関係の解消に関するご相談も受付しております。
ご依頼いただいた場合には、お客様ファーストで寄り添い、サポートさせていただきます。
初回のご相談は、無料で実施させていただいておりますので、お困りの際は、一度、弊所宛にご連絡ください。
一人で悩まずに新たな一歩をわたしたちと
弁護士ブログ
2025/01/17
離婚はどうやったらできるの?離婚の方法や裁判で認められるための要件を解説!
第1 はじめに
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィスの弁護士坪井智之です。
当事務所では離婚に関するご相談を数多くいただいています。離婚についての問題は、どのようなときに離婚が認められるかということから、親権や財産分与に関することなど多岐にわたります。そのため、一般の方には何が問題になるのかを把握するのが難しいところもあるかと思います。そこで今回は、離婚のときに何が問題になるのか、網羅的になるべく分かりやすく解説してみたいと思います。
第2 離婚はどのようなときに認められるのか?
一口に離婚といっても、その方法は複数あります。その中で多いのは、①協議離婚、②離婚調停による離婚、③裁判上の離婚、の3つです。
1 協議離婚
まず、日本において、離婚は当事者の協議によってすることができます(民法763条)。これを協議離婚と言い、夫婦の間で合意さえできれば、理由を問わず離婚することができます。そして、離婚の効力は離婚届を提出することにより発生します(民法764条、739条1項)。
なお、配偶者の一方が他方の同意を得ることなく無断で離婚届を作成し提出したらどうなるのでしょうか?この場合、夫婦の間で離婚の合意はできていないので、法的には離婚は成立しないことになります。しかし離婚届を受理する役所としては、あくまでも離婚届が必要な形式を備えているか否かを判断するにとどまり、実際に双方が合意しているか否か等を確認するようなことはしません。そのため、形式さえ整っていれば、離婚届は受理されることになります。そして届出が受理されている以上、戸籍には協議離婚した旨が記載されてしまいます。この場合に、その戸籍の記載の訂正や消除をするには、裁判または審判の手続が必要です。しかし、そうすると離婚を望まない配偶者の側にとって不都合ですので、このような不都合を防止するために、離婚届出不受理申出制度(戸籍法27条の2第3項)が用意されています。この届出をすることにより、本人の意思に基づくことが確認できない離婚届は受理されなくなります。したがって、離婚協議中であるものの離婚をしたくない当事者は、万が一に備えて、この届出をすることを検討してみてもいいかもしれません。
2 離婚調停による離婚
(1)離婚調停
協議離婚をできない場合、では裁判かというとそうではありません。原則として、離婚訴訟を提起する前に、まず家庭裁判所に離婚調停を申し立てる必要があります。離婚調停とは裁判官を含む調停委員会の支援の下、当事者間で解決方法の合意を目指す制度です。裁判とは異なり手続が簡易で費用も安価な上に、裁判官が手続きに関与するため、合意内容の法律的な妥当性を確保することもできます。
このような訴訟の前に調停を経るという制度は、「法は家庭に入らず」というローマ法以来の考え方に基づいています。つまり、離婚という家庭の問題に国家がいきなり介入するのではなく、なるべく当事者の互譲により円満かつ自主的に解決してもらおうというという考え方になっているわけです。
離婚調停により双方が離婚(親権も含む)に合意できた場合、その調書が作成された時点で離婚が成立します。そして、一方の当事者が離婚届を作成し提出することとなります。そのため、改めて2人で離婚届を作成する必要はありません。一方で、離婚や親権に合意できなかった場合、離婚調停は不成立となり、離婚は成立しないことになります。
(2)調停に代わる審判
調停が成立しない場合でも、家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者双方のために衡平に考慮し、一切の事情を考慮して、職権で審判をすることができます(家事事件手続法248条1項)。これを調停に代わる審判と言い、その効力により離婚が成立します。ただし、不服がある当事者は2週間以内(同法286条2項、279条2項)であれば、異議申し立て(同法286条1項)をすることにより、調停に代わる審判を無効にすることができます(同法286条5項前段)。したがって、調停に代わる審判には強制的に離婚を成立させる効力はないと言えます。
3 裁判上の離婚
調停を経ても離婚の合意ができなかった場合は、離婚の訴えを提起することができます。この離婚裁判で離婚が認められれば、相手方が離婚を拒否していても強制的に離婚することができます。ただし離婚が認められるためには、民法で定められた離婚事由がなければいけません(民法770条1項)。民法が規定する離婚事由は次の5つです。
1号 配偶者に不貞な行為がったとき
2号 配偶者から悪意で遺棄されたとき
3号 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
4号 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
5号 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
それぞれの離婚事由についてみていきましょう。
(1)配偶者に不貞な行為がったとき
「不貞な行為」とは、婚姻している者が自由な意思に基づいて配偶者以外の異性と性的な関係をもつことです。この定義によると、たとえどれだけ親密な関係となっていても、性的な関係をもっていなければ「不貞な行為」には当たりません。世間一般で浮気や不倫と言われるものでも、法律上の「不貞な行為」に当たるとは限らないので注意が必要です。
また、「不貞な行為」があったことは離婚を請求する側が証明しなければなりませんが、性的な関係をもったことを直接証明する証拠はなかなか入手できないので、立証に苦労することが多いです。この点にも注意した方がいいでしょう。
(2)配偶者から悪意で遺棄されたとき
夫婦には、同居、協力、扶助義務(民法752条)があります。悪意の遺棄とは、婚姻倫理から見て非難される態様でこの夫婦の義務に違反する行為をすることです。例えば、合理的な理由なく配偶者や子供を放置して別居する場合や、収入がありながら婚姻費用の分担をしない場合などです。
(3)配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
配偶者の生死が3年以上不明である場合は、婚姻を継続する意味がないので、離婚原因とされています。
なお、配偶者の生死が7年間明らかでない場合も、失踪宣告制度により死亡したものとみなされ(民法30条、31条)、婚姻関係が終了します。しかしこの場合は、失踪した配偶者について相続が開始し、残された配偶者は相続人となる点が離婚とは異なります。
(4)配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
配偶者が重い精神病に罹患することは、婚姻共同生活を円満に維持・継続させることが困難となるため、離婚原因とされています。しかし、精神病に罹患した配偶者からすると、自己の責任ではないにもかかわらず、経済的援助などの支援を受けられなくなるということであり、酷です。したがって、この要件での離婚は簡単には認められない傾向にあります。
(5)その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
1号から4号までの離婚事由以外にも、離婚したいと思う事情は色々あるかと思います。例えば、
・長期間の別居
・虐待、暴力、ハラスメント、重大な侮辱
・不就労、浪費、借財
・犯罪行為、服役
・疾病、性的不能を含む障害
・過度の宗教活動
・性格の不一致、親族との不和
などです。これらの事情は個別に離婚原因として認められているわけではないので、これらの事情があるからといって直ちに離婚することはできません。しかし、これらの事情も含めた全ての事情を総合して、客観的に婚姻関係が破綻していると認められる場合には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」として離婚することができます。
(6)裁判所による裁量棄却(民法770条2項)
裁判所は、1号から4号までの離婚事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができます。従って、1号から4号までの離婚原因があるからといって必ずしも離婚が認められるとは限りません。
4 まとめ
以上が離婚をするための手続きと裁判で離婚が認められるための要件についての解説になります。長くなりましたので今回はここまでにして、次回で親権や面会交流など、離婚に伴って決めるべき諸問題について解説したいと思います。
ひとりで悩まずに、新たな第一歩を、私たちと。
弁護士法人 山本・坪井綜合法律事務所 長崎オフィス
弁護士 坪井智之
弁護士ブログ
2025/01/15
個人再生における最低弁済額について
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィスでは,個人再生手続を数多く取り扱っています。
個人再生は,民事再生法に則って裁判所に返済不能を申し立て,借金を大幅に減額してもらい,減額された借金をおおむね3年かけて支払う手続きです。
今回は,個人再生における最低弁済額(弁済すべき金額)がどの様に決まるかをご説明します。
個人再生における最低弁済額とは,最低限返済しなければならない金額のことをいい,最低でも100万円となっています。
最低弁済額を決める基準は以下の3つです。
①最低弁済基準: 借金額によって決まる基準です。
②清算価値保障基準: 財産を現金化した場合の価値以上の支払いを求める基準です。
③可処分所得基準: 年収から各種保険料や税金,最低生活費を引いた金額(可処分所得)の2年分以上の支払いを求める基準です。ただし,給与所得者等再生手続をとった際にのみ適用される可能性があります。
最低弁済額は,個々のケースによって異なりますので,弁護士に相談されたうえで個人再生の申し立てを検討されることが大切と思われます。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィスでは,個人再生手続のご相談はもちろん,それ以外にも債務整理の経験が豊富な弁護士が多数在籍しております。
まずは,お気軽にご相談ください。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィス
代表弁護士 坪井智之
弁護士ブログ
2025/01/06
泥酔して隣の家に入ってしまった!?どんな罪になるのか弁護士が解説
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィスの弁護士の寺町です。
年末年始でお酒を飲む機会が多いと思いますが、中には飲みすぎて痛い目にあった方もいるのではないでしょうか?大体は笑い話で終わるものでしょうが、笑い話で終わらないニュースも飛び込んできています。なんと某人気俳優が泥酔して自宅マンションの隣の部屋に無断で侵入し、警察の捜査を受けているとのこと。
さて、この事件のネット記事では警察は住居侵入の疑いで捜査を進めていると書いてありました。ではこのようなケースで住居侵入罪(刑法130条前段)が成立するか、ちょっと真面目に考えてみましょう。
住居侵入罪は「正当な理由がないのに、人の住居・・・に侵入」した場合に成立します。また故意(38条1項本文)として「正当な理由がないのに、人の住居・・・に侵入」することの認識が必要です。
まず、「正当な理由がないのに、人の住居・・・に侵入」したと言えることについては問題ないでしょう。そして泥酔していたとのことなので自分の部屋ではないことを認識していなかった可能性もありますが、記事によると「トイレをしたくて勝手に入ってしまったと思います」と供述しているとのことですから、故意も認められると考えます。
さて、ここまで読んでくださっている方の中には、トイレを我慢できなかった場合であれば仕方ないのではないか、正当防衛(36条1項)になるのではないかと思う方もいるかもしれません。しかし、正当防衛は「急迫不正の侵害」に対して行うものであり、隣の部屋の住人の方が不正な侵害行為を行っていなければ成立しないものですから、正当防衛は成立しません。また、緊急避難(37条1項本文)が成立して犯罪にならないケースも考えられはしますが、通常は自分の部屋が隣なのに、隣の部屋に入る以外に方法がないというようなケースは考えにくいので一般的には緊急避難の成立も難しいでしょう。
もっとも、記事によると酒を飲んでいて記憶がないとのことなので「心神喪失」(39条1項)、もしくは「心神耗弱」(同条2項)状態であったとの主張も考えられます。では「心神喪失」もしくは「心神耗弱」は認められるでしょうか。「心神喪失」とは、精神の障害により事物の理非善悪を弁識する能力又はその弁識に従って行動する能力のない状態をいい、「心神耗弱」とは、その能力が著しく減退した状態をいいます。この点については記事の情報だけでは何とも言えません。飲酒の量や言動などから判断するしかないところです。
よって今回のケースでは、「心神喪失」や「心神耗弱」が認められない限りは、住居侵入罪が成立する可能性があります。
今回は事件をキャッチーに取り扱いましたが、このような飲酒トラブルは誰にでも起こりえますし、当然その際に警察沙汰になることも往々にしてあります。トラブルを起こしてしまった、警察の捜査を受けていてどうしたらよいか分からないと言った方は是非、山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィスにご相談ください。刑事事件を数多く扱っている弁護士が在籍していますので、ご依頼者様をしっかりサポートいたします。
一人で悩まず、新たな一歩を私たちと。