弁護士ブログ

2025/10/02

法人破産でやってはいけない6つの行為

弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所では、多数の法人破産を取り扱ってまいりました。

企業経営が行き詰まったとき、「法人破産」は再出発のための重要な選択肢です。しかし、破産手続を誤ると、法的リスクや刑事責任に発展する可能性があります。

今回は、法人破産を取り扱ってきた弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所 長崎オフィスが、破産申立前に絶対に避けるべき6つの行為について解説いたします。

1.一部の債権者にだけ返済する(偏頗弁済)
破産法では「債権者平等の原則」が定められており、特定の債権者にだけ返済する行為は「偏頗弁済」として禁止されています。破産管財人により否認され、弁済が無効になる可能性が高く、悪質な場合は法的責任を問われることもあります。

事例紹介:偏った返済を回避し、円滑な破産申立に至った製造業のケース

精密部品の製造を行っていたA社は、主要取引先の突然の倒産により売掛金の回収が不能となり、資金繰りが急速に悪化しました。社長は長年付き合いのあった一部の取引先へ優先的に返済を試みましたが、当事務所が「すべての債権者を公平に扱う」という破産制度の基本を丁寧に説明。最終的には返済の優先を見送り、すべての債権者に対して中立な対応を取ることができました。こうした誠実な姿勢が評価され、破産管財人との連携も順調に進み、代表者個人も責任を問われることなく早期の生活再建に踏み出すことができました。

2.財産の隠匿・無償譲渡・安価での売却
破産前に会社の資産を意図的に減らす行為(財産隠し、無償譲渡、安売り処分など)は、債権者の利益を害する不正行為です。名義変更や親族・関係者への譲渡も偽装とみなされ、詐欺破産罪などの刑事責任に問われる可能性があります。

事例紹介:不適切な資産移転を防ぎ、トラブルの回避に成功した飲食業の事例

B社は複数の飲食店舗を展開していましたが、業績の悪化と過剰な借入により経営が行き詰まり、破産を検討する段階に入りました。破産直前、代表者は店舗内の厨房設備や什器を親族名義に移すことで資産の保全を図ろうとしていましたが、当事務所が介入し、こうした行為が破産法上の否認対象となる可能性や、最悪の場合は詐欺破産罪として刑事責任を問われかねないことを説明。リスクを正確に理解した代表者は、計画を中止し、すべての資産を適切に開示したうえで正式な破産手続へと移行。破産管財人との関係も良好に築かれ、従業員の雇用先紹介などの支援もスムーズに進行しました。トラブルを未然に防ぐことができた典型的な事例です。

3.破産予定を社外に漏らす
破産の検討段階で情報が社外に漏れると、資産の引き上げ、契約解除、社内混乱などのトラブルが発生しやすくなります。
破産手続の安定性を損なうため、情報管理には細心の注意が必要です。

4.返済の意思がない借入をする
返済の意思がないまま借入や取引を行うと、「計画倒産」とみなされ、破産申立が却下される可能性があります。
さらに、詐欺罪や詐欺破産罪として刑事責任を問われるリスクもあります。

5.資産を使い果たす
法人破産には申立費用や破産管財人報酬など、最低限の資金が必要です。
資産を使い果たしてしまうと申立すらできず、会社を放置するしかなくなるケースも。結果として、代表者個人や従業員・取引先に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

6.社長や役員名義への資産移転
会社資産を代表者や役員個人名義に移す行為は、実質的に財産隠しとみなされます。
破産管財人によって否認されるだけでなく、悪質と判断されれば刑事責任を問われることもあります。

法人破産は「誠実な経営判断」です。

借金問題や資金繰りの行き詰まりは、経営者にとって非常に苦しい状況です。

しかし、法人破産は責任逃れではなく、再出発のための正しい経営判断でもあります。

問題を先送りせず、法的に正しい手続きを踏むことで、代表者個人や従業員・取引先への影響を最小限に抑えることが可能ですので、まずは法律相談をされては如何でしょうか。

弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所では、これまで多くの企業様からご相談をいただき、丁寧に対応してまいりました。

初回相談は無料ですので、「ちょっと話を聞いてみたい」という方も、どうぞ安心してご連絡ください。

また、交通事故、相続・遺言、刑事事件、離婚・男女問題など、幅広い分野に対応しております。

弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所 長崎オフィス
弁護士 寺町 直人

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