法律相談コラム

2022/03/17

離婚調停の流れ

Q 夫との離婚で、話し合いがまとまりません。調停を考えています。調停の流れについて、教えてください。

A 夫婦間で離婚の話をしても、話がまとまらないことがあります。協議離婚の合意が得られない場合は、離婚調停へと進めざるを得ません。離婚調停の流れについて、お話しします。

〇 離婚の流れ

1 離婚調停の流れ
  夫婦間で話し合ったが、決着がつかず協議離婚できない場合は、調停委員を間に挟む 形で進められる調停の申し立てを行います。正式には、「夫婦関係調整調停」と言います。
  夫婦間で決着が着かないからと言って、いきなり離婚訴訟を起こすことはできず、必ず家庭裁判所に「家事調停」の申し立てをすることが法律で決められています。
離婚調停では、離婚するかどうかは勿論のこと、親権、養育費、面会交流、慰謝料、財産分与、年金分割等について、調停が行われます。

➀ 離婚調停の申立て
  離婚調停を行うには、相手の住所地を管轄する家庭裁判所に「夫婦関係調整調停(離婚調停)」の申し立てを行います。
   申し立てに必要な書類としては、
     ・夫婦関係調整調停の申立書
     ・戸籍全部事項証明書
     ・収入印紙、切手
     ・進行に関する照会回答書
     ・事情説明書
     ・連絡先届出書
     ・その他、陳述書等
等があります。
  調停を申し立てる際の費用については、印紙代(1,200円)、切手代(1,000円程度)、戸籍謄本取得、住民票取得代等、おおむね3,000円程度です。
  また、婚姻費用分担請求、財産分与請求、慰謝料請求、養育費請求等を同時に申し立てる場合は、それぞれ、1,200円の収入印紙代が必要となります。 

➁ 調停期日の調整
   調停の申立てが受理されてから、約1カ月程度すると、家庭裁判所から第一回の調停期日調整の連絡があります。

➂ 期日通知書による通知
    調停期日が決定すると申し立てた家庭裁判所から、夫婦それぞれに呼出状が届きます。

➃ 調停期日当日(第一回の調停)
   調停期日に、家庭裁判所に行き、調停が開始されます。
   家庭裁判所では、夫婦は別々の待機室で待機しますので、顔を合わせることはありません。
   家庭裁判所の待合室で待機していると、まず申立人が調停室に呼び出され、離婚調停に至った経緯や主張などを聞かれます。
   続いて、相手方が調停室に呼び出され、同様に主張を聞かれます。    
   調停室は、裁判官1名と調停委員2名が待機しており、夫婦関係の修復が可能かどうかを図り、不可能だと判断されると、離婚の方向に向けて調停が進められます。
   相手方の話が終わると、再度申立人が調停室に呼ばれ、相手方の主張が調停委員から告げられます。
   さらに、相手方も同様に、申立人の出張を告げられます。
   このように、夫婦交互に話し合いの場が2回ずつ持たれ、所要時間はおおむね2~3時間ほどです。

➄ 第二回の調停
   第二回の調停は、第一回から概ね一カ月後に開かれます。
   二回目の調停も一回目と同様に、それぞれ交互に話を聞かれます。
   残念ながら、二回目の調停でも話がまとまらない場合は、三回目の期日が設定されます。

➅ 調停の成立
   調停が成立した場合は、調停調書が作成されます。
   調停調書は、裁判所に交付申請し、受け取ることができます。

➆ 離婚届の提出、離婚成立
   調停成立後、10日以内に調停調書と離婚届を市町村役場に提出し、離婚が成立します。

➇ 離婚調停の不成立
   どうしても話し合いで解決できる見込みがないと判断されると、調停不成立ということで、離婚が成立しないまま、調停は終了してしまいます。
調停不成立に対して、不服の申立てはできません。
離婚調停が不成立となる場合としては、
  ・話し合っても調停成立の見込みがないと裁判官や調停委員が判断した場合
  ・相手が正当な理由もなく調停に出頭しないなど、調停を進行させることが困難と判断した場合
  ・相手が調停の不成立を裁判官や調停委員に求めた場合
  ・相手が調停中に死亡した場合
  などがあげられます。
調停が不成立となった場合は、
  ・再度、夫婦で離婚について話し合い、協議離婚する
  ・離婚裁判へ移る
  ・審判裁判へ移る
が考えられますが、離婚裁判へ移るケースが多いです。

このように、離婚調停が進められますが、一度調停不成立という結果が出てしまいますと、それを取り消すことはできませんので、調停で話し足りないことがないように事前準備をし、しっかりと話し合いを行うことが重要です。

離婚調停についてお話ししましたが、離婚調停であっても、自分の意見を主張しなくてはならず、自分の意見を主張するのが苦手な方は、弁護士への相談をお勧めします。
   
当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィスの弁護士は、離婚に関して経験豊富な弁護士であり、あなたに代わって、あなたの意見を主張してくれます。
離婚についてどうしたらよいかお悩みの方は、当長崎オフィスにご連絡ください。
あなたととって、最善の方法をアドバイスいたします。

法律相談コラム

2022/03/16

離婚の種類について

Q 夫との仲が悪くなってしまい、離婚を考えています。夫と離婚するにはどうすればよいのですか?

A 夫のDVや不貞などで不仲となり、離婚をお考えの方は多いと思われます。
離婚の種類についてお話しします。

◎ 離婚の種類
  離婚の種類には、
「協議離婚」、「調停離婚」、「裁判離婚」
の大きく分けて3種類と、そのプロセスによってさらに
「審判離婚」、「和解離婚」、「認諾離婚」
の3種類に分かれています。
  
□ 協議離婚
協議離婚とは、夫婦が自分たちで話し合いをして、離婚と離婚条件を決めて、離婚
届けを出すことで成立する離婚です。
 離婚した夫婦の9割が、協議離婚によって離婚しています。
 協議離婚で決めておくべき事項として、
➀ 慰謝料 ➁ 財産分与 ➂ 養育費 ➃ 親権 ➄ 面会交流
➅ 年金分割 ➆ 婚姻費の清算 ➇ 離婚後の氏
などがあります。

 また、何も決めないままや口約束だけで離婚してしまうと、後から不都合が生じる可能性がありますので、夫婦間で合意した内容を離婚協議書といった書面として作成することが大切です。
  
 さらに、離婚協議書は養育費や慰謝料の未払いに備えて、公正証書で作成しておくとよいでしょう。

 離婚協議をしたときは、戸籍に「協議離婚」と記載されます。

◎ 協議離婚のメリット
 ・離婚理由が何であれ、夫婦間で合意できれば離婚できる。
 ・手間や費用が安くて済む。
◎ 協議離婚のデメリット
 ・夫婦間で離婚の合意ができなければ離婚できない。
 ・離婚の合意をしたとしても、離婚条件で合意しなければ離婚できない。
 ・離婚を急ぐあまり、十分に話し合いをしないまま離婚してしまう。

□ 調停離婚
調停離婚とは、夫婦間で話し合いをしたが、離婚について合意できない場合や相
手自体が話し合いに応じてくれない場合に、家庭裁判所に調停の申し立てをし、調停の手続きを経て成立する離婚です。
 この時の調停を、「夫婦関係調整調停」と言いますが、一般的には、「離婚調停」
と呼ばれています。

離婚調停では、離婚についてのみでなく、子どもの親権や面会交流、養育費、財産分与などについても、一緒に話し合うことができます。
 離婚調停で夫婦間の離婚の合意が成立すると、家庭裁判所で調停調書が作成されます。離婚の事実を反映させるために、調停が成立してから、10日以内に離婚届とともに調停調書の謄本を添えて、市町村に提出することで、成立します。
 もし、調停で夫婦間の離婚の合意が得られない場合は、離婚は成立しません。
 また、いったん調停が成立してしまうと、調停の内容に不服を申し立てることはできません。合意できない点や少しでも疑問な点があれば、調停が成立する前に徹底的に話を詰めることが必要です。

 調停離婚をしたときは、戸籍に「調停離婚」と記載されます。

◎ 調停離婚のメリット
 ・調停調書により、お互いの権利義務が明確となり、裁判の確定判決と同一の効力を持つ。
 ・調停に係る費用が安い。
◎ 調停離婚のデメリット
 ・離婚が成立するまで、長期となる場合がある。
 ・相手が調停に応じないと、話がまとまらず、調停不調に終わる場合がある。
 ・家庭裁判所に出頭しなくてはならない。

□ 審判離婚
 審判離婚とは、離婚調停を行っても細かい条件面で合意できなかった場合や、ほとんど合意しているが、一方の当事者が急な入院などで調停に来られなかった場合において、家庭裁判所の裁判官が離婚は妥当だと判断した場合、職権により離婚を成立させるものです。
離婚調停が不成立となった場合は、「離婚訴訟」をしないと離婚できませんので、離婚調停が成立しそうなのに、少しの齟齬で調停が不成立になってしまいそうな場合には、調停の経過をみてきた家庭裁判所の裁判官が、調停を不成立にするのではなく、「審判」で離婚を決定します。

 離婚審判に意義がある場合は、審判書を受け取ってから2週間以内に家庭裁判所に異義申立書を提出すると離婚が無効となります。
審判によって離婚したときは、戸籍に「審判離婚」と記載されます。

□ 裁判離婚
 裁判離婚とは、離婚調停で合意が出来ず不成立になった場合には、夫婦のどちら
か一方が裁判所に離婚訴訟を起こして、裁判上の手続きで離婚が成立することを言います。
離婚訴訟によって離婚する場合(裁判離婚)には、
     「判決離婚」、「和解離婚」、「認諾離婚」
の3種類があります。
 裁判離婚の場合、民法で定めている離婚理由が必要となります。

◇ 民法で定めている離婚理由(民法第770条1項)
「夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。」
     ・配偶者に不貞な行為があったとき
     ・配偶者から悪意で遺棄されたとき
     ・配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
     ・配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき
     ・その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
  
 以上いずれかの離婚事由が認められ、離婚の判決が確定すると離婚が成立しま
す。しかし、裁判で離婚理由を証明する証拠が必要となり、証拠不十分時は却下
や棄却の判決となり、離婚は成立しません。
 DV、生活を崩壊させるようなギャンブル・飲酒・借金・セックスレスなどは、この「婚姻を継続し難い重大な事由」に該当する可能性がありますが、性格の不一致だけでは、離婚理由に当たりません。
 しかし、性格の不一致の結果、別居に至ったような場合、その別居がどちらの責任といえなくても、別居が長期にわたり、今後の夫婦関係の修復が見込めないと判断されるようなときは、離婚が認められる可能性があります。

□ 判決離婚
 判決離婚とは、離婚訴訟の判決によって、離婚する方法を言います。
ただし、裁判の場合には、法定離婚原因に該当する事実がないと、離婚は認められません。また、有責配偶者(離婚の原因をつくった側)からの離婚請求は原則として認められません。

相手側が離婚を拒否していたとしても、離婚の決定が出たならば、強制的に離婚することができます。しかし、請求が棄却されれば、離婚はできません。

離婚の決定に不服がある場合、判決が下されてから、2週間以内に控訴の申立がない場合は判決は確定します。

判決が確定すると、家庭裁判所から「決定書」が送られてきますので、10日以内に、自分で「判決確定証明書」を裁判所に取り寄せ、戸籍謄本と離婚届などの書類とともに市町村役場に提出することで離婚が成立します。
 判決離婚の場合は、戸籍には「判決離婚」と記載されます。

□ 和解離婚
 和解離婚とは、裁判の審理途中で、裁判官が間に入って話を進め、当事者が自分
たちで離婚や離婚条件を話し合い、判決を待たずに離婚することを言います。
和解離婚のためには、当事者本人が裁判所に出頭し、離婚に同意することを裁判 所に明らかにする必要があるため、弁護士等の代理人だけでは成立しません。
和解により離婚するときは、裁判所の作成する「和解調書」を市町村役場に提出することで離婚が成立します。
 和解離婚の場合は、戸籍には「和解離婚」と記載されます。

□ 認諾離婚
 認諾離婚とは、離婚訴訟の係争中、裁判を起こされた側(被告)が訴えた側(原
告)による請求内容を全面的に受け入れることで成立する離婚です。
認諾離婚できるのは、親権問題や財産分与、慰謝料請求がない場合に限られます。
離婚を認諾してから、2週間以内に異議の申立がなされなければ認諾は確定します。
 認諾が確定してから10日以内に、認諾調書謄本と戸籍謄本を、離婚届と一緒に市区町村に提出することで離婚は成立します。
 認諾離婚の場合は、戸籍には「認諾離婚」と記載されます。

  
 このように、離婚にはいろいろな方法があります。夫婦で話し合い離婚が成立すればよいのですが、親権や財産分与などの問題となると、お互い話がまとまりにくいところがあります。
夫婦間で離婚の話となったときは、お早めに弁護士にご相談されることをお勧めします。
 協議離婚するにしても、様々なことを決める必要がありますので、後から「こんなはずではなかった」と後悔することが多々あります。もちろん、調停や裁判となると、いろいろな証拠や書面を提出しなければならないので、専門の弁護士に依頼することで、スムーズに進めることができます。
  
 当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィスは、離婚に関するご相談を多数お受けし、解決しております。
  
 当長崎オフィスの弁護士は、離婚問題に関し、経験豊富な弁護士であることから、安心してご相談できます。
  
 夫婦間で離婚の話が出たときは、当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィスにご連絡ください。

  あなたにとって、最適な解決のアドバイスを致します。

法律相談コラム

2022/03/07

未決勾留について

Q  刑事事件の裁判の判決で、「被告人を懲役〇年に処する。未決勾留日数中△△日をその刑に算入する。」と言われましたが、未決勾留って何ですか?

A
1 未決勾留とは
 「未決勾留」とは、日本の刑事手続において、犯罪容疑で逮捕されてから、判決が確定するまでの刑事施設に勾留されている状態のことを言い、その期間を、未決勾留日数と言います。

未決勾留は、刑法第21条に、「未決勾留の日数は、その全部又は一部を本刑に算入することができる。」と規定され、裁判所は、判決で刑の言渡しをする場合、裁量により、未決勾留日数の全部又は一部を刑期に算入することができるとされています。つまり、未決勾留は必ず考慮されるものではなく、原則として、裁判官の裁量に委ねられています。

2 未決勾留日数の算入
 未決勾留日数は、刑事施設に勾留されている日数のすべてが、刑期に算入されるわけではありません。
実務では、起訴前の勾留については算入されず、起訴後の勾留日数のうち、裁判準備のために通常必要とされる期間を超える日数分だけ算入されることになります。

裁判準備のために通常必要とされる期間とは、

➀第1回目公判(初公判)については、30日
➁第2回以降については、各公判あたり10日
 と考えられています。

未決勾留日数の算入により、算入された日数分だけ刑に服したものとみなされ、実質的にその分刑期が短くなります。

未決勾留日数が算入される刑罰については、
懲役、禁固、罰金、科料
があげられます。
 
 執行猶予付きの懲役刑・禁固刑についても、執行猶予が取り消される可能性があることから、未決勾留を算入することができます。

罰金や科料の財産刑の場合にも、算入することができるが、実例は少なく、被告人に罰金を支払う資力がなさそうな場合は、正式裁判にした上で、未決勾留日数を金銭に換算して、「被告人を罰金10万円に処する。未決勾留日数のうち、その1日を金5,000円に換算して、その罰金額に満までの分をその刑に算入する。」と言い渡します。
 また、実刑判決の懲役刑で、懲役刑の期間が短いが、長期に渡って勾留されたことから、未決勾留日数が長く算入され、刑が確定した後、服役しなくても済む場合等もあります。
 
3 必ず未決勾留日数が算入される場合
 未決勾留日数の算入は、裁判官の裁量に委ねられていますが、法律上必ず未決勾留日数が算入されることとなっている場合があります。

刑事訴訟法第495条1項は、「上訴の提起期間中の未決勾留日数は、上訴申立後の未決勾留の日数を除き、全部これを本刑に通算する。」と定めています。
つまり、上訴を申し立てた場合は、判決言渡し日から上訴を申し立てた日の前日までの日数が算入されます。

また、上訴の申し立てが検察官であるときや、被告人が上訴を申し立て、上訴審において原判決が破棄されたときは、上訴を申し立ててから判決日の前日又は判決確定の日の前日までの日数が未決勾留として必ず算入されます。

 さらに、控訴を申し立てなかった場合は、判決言渡しから15日間が必ず未決勾留として算入されます。

 当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所は、刑事事件を専門の一つとする法律事務所であり、刑事事件に経験豊富な弁護士がご相談をお受けし、適切なアドバイスを致します。

 ご家族や知人が刑事事件を起こしてしまったり、巻き込まれてしまい、お困りの方は、当長崎オフィスにご連絡ください。

法律相談コラム

2022/03/07

保釈請求について

1 保釈とは
逮捕勾留によって起訴され、身体を拘束されている被告人のみに対し、一定の条件を付して身柄を解放する制度です。保釈が認められないと被告人としての勾留は刑事裁判が終わるまで続けられます。
  
保釈には、「権利保釈」、「裁量保釈」と「義務的保釈」の3種類がありますが、大半は「権利保釈」と「裁量保釈」となっています。

□権利保釈
保釈の請求があった場合、要件を満たしていたならば、必ず認められるものですが、一定の除外事由に該当する場合は、保釈は却下されます。(刑事訴訟法第89条)

□裁量保釈
権利保釈が認められない場合でも、逃走・罪証隠滅のおそれの程度、その他身体拘束
により受ける健康上、経済上、社会生活上、防御の準備上の、不利益の程度等を勘案して、裁判所の職権で保釈されるものです。(刑事訴訟法第90条)

□義務的保釈
勾留による拘禁が不当に長くなった場合は、裁判所が義務的に保釈する制度ですが、
義務的保釈はあまり多くありません。(刑事訴訟法第91条)

2 保釈の請求権者
 保釈の請求権者は、勾留されている被告人、またはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族もしくは兄弟姉妹です。(刑事訴訟法第88条)

3 保釈請求の時期など 
 保釈請求の方法は、裁判所に対し書面または口頭で請求しますが、実務では書面にて請求されます。
請求の時期は、何ら制限はありません。
また、請求の撤回について規定はありませんが、保釈許否の裁判があるまでは撤回することができます。

4 保釈請求の失効
 保釈の請求が失効するのは、保釈、勾留の執行停止、勾留の取消しがあったとき、または勾留状の効力が消滅したとき、効力を失います。

5 保釈の条件
 保釈の可否が検討されるときは、まず権利保釈の要件に合致するのか、判断されたうえで、権利保釈が認められない場合は、裁量保釈を認めるべきか、検討されます。

 権利保釈は、被告人の権利として原則的に認められるのですが、以下の6つの除外事由にあたる場合は、認められません。

・死刑、無期、短期1年以上の懲役または禁錮にあたる罪を犯した
・過去に死刑、無期、長期10年を超える懲役または禁錮にあたる罪で、有期判決を受けたことがある
・常習として長期3年以上の懲役または禁錮にあたる罪を犯した
・罪証隠滅のおそれがある
・被害者や証人に対して危害を加える恐れがある
・氏名または住居が明らかでない
   
これらの除外事由に該当する場合は、さらに裁量保釈を認めるべきか、検討されます。   

裁量保釈の考慮の要素としては、
・被告人が逃亡・罪証隠滅を図るおそれの程度
・勾留による身柄拘束で、被告人が健康上、経済上、社会生活上、防御の準備上の不利益の程度 等があげられます。

さらに、事実の認否、共犯者の有無、示談成立の有無、想定される量刑、証拠の状況、保釈の監督環境などを踏まえて、総合的に判断されます。

6 保釈保障金
 裁判官が保釈を認めた場合は、「保釈保証金(保釈金)」を裁判所に納付しなければなりません。(刑事訴訟法第94条第1項)

保釈金の金額には、法律による決まりや相場はありませんが、被告人の裁判所への確実な出廷を担保するため、被告人の経済状況など様々な事情を考慮して決定されます。
保釈金を納付し、保釈されたとしても、所定の条件を破った場合は、保釈金の全部または一部が没収されます。

しかし、条件を守って裁判を受ければ、保釈金は返還されます。
   
保釈が決まったが保釈金が用意できない場合は、一般社団法人日本保釈支援協会による「保釈保証金立替システム」を利用することで、最大500万円までの立替を受けられます。

7 保釈中の制限
裁判所から保釈が認められたならば、保釈の条件として、被告人に対する制限が加えられます。

例えば、
・被告人の生活や行動を監視し、裁判所への出頭を促す身元引受人が存在すること
・裁判所の許可なく、転居、外泊、旅行しないこと
・被害者、証人、共犯者などと接触しないこと

などがあげられます。
   
これらの指定された保釈の条件に違反すると、保釈が取り消されたうえ、保釈金が没収されることがあります。

 以上のとおり、保釈請求は、裁判官に対し保釈を求める理由を明確に示さないと、裁判官が保釈を認めない可能性があることから、経験豊富な弁護士へ依頼することをお勧めします。
   
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィスでは、これまで多数の保釈請求を行い、保釈を勝ち取ってきました。
控訴保釈、上訴保釈などの実績もあります。

保釈させたいと思ったらまずは当長崎オフィスへご連絡下さい。

法律相談コラム

2022/03/07

弁護人制度について

1  弁護人制度について
 弁護人制度については、憲法第34条前段で、「何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ、抑留又は拘禁されない。」と定められ、さらに同37条3項前段で、「刑事被告人は、いかなる場合でも、資格を有する弁護人を依頼することができる。」と規定し、弁護人を依頼する権利を、基本的人権の一つとして保障されています。
 これを受け、刑事訴訟法第30条1項において、「被告人または被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。」と弁護人の選任権が定められています。

 被疑者・被告人は、犯罪を行った嫌疑があるとして、捜査・訴追の対象とされており、その手続きの過程で、自由や権利が制限される危険がある立場に置かれます。

 そこで、被疑者・被告人が十分に自己の利益及び権利を防御するために、法律の専門家の援助を受ける必要が大きく、ここで刑事弁護人制度の必要性が重要となります。

2 弁護士の任務
 弁護人の任務は、憲法による弁護人依頼権の保障を受けて、被疑者・被告人の権利及び利益を擁護することとされています。
 弁護人が擁護し、保護すべきは、被疑者・被告人の正当な利益とされています。

3 弁護人の義務
 弁護人は、被疑者・被告人の権利・利益の擁護という任務を果たすために、訴訟上の権利ないし権限を誠実に行使すべき義務を負っており、弁護士法第1条2項に、「弁護士は、前項の使命に基き、誠実にその職務を行い、社会秩序の維持及び法律制度の改善に努力しなければならない。」と規定され、これを誠実義務といいます。

 被疑者・被告人の権利・利益の擁護を離れた公的利益の追求は、弁護人の任務ではない立場から、裁判所の真実発見に積極的に協力する義務の真実義務はないものと解されています。

 弁護士の義務については、刑法や刑事訴訟法等に散在し、また弁護士法にも規定されております。例えば、弁護士法第23条の「弁護士又は弁護士であった者は、その職務上、知り得た秘密を保持する権利を有し、義務を負う。但し、法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。」(秘密保持の権利及び義務)などです。

また、弁護士は裁判制度にかかわることを職務とするものとして、裁判の公正及び手続の適正を実現するために努力することが求められています。

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