法律相談コラム

2022/03/07

保釈請求について

1 保釈とは
逮捕勾留によって起訴され、身体を拘束されている被告人のみに対し、一定の条件を付して身柄を解放する制度です。保釈が認められないと被告人としての勾留は刑事裁判が終わるまで続けられます。
  
保釈には、「権利保釈」、「裁量保釈」と「義務的保釈」の3種類がありますが、大半は「権利保釈」と「裁量保釈」となっています。

□権利保釈
保釈の請求があった場合、要件を満たしていたならば、必ず認められるものですが、一定の除外事由に該当する場合は、保釈は却下されます。(刑事訴訟法第89条)

□裁量保釈
権利保釈が認められない場合でも、逃走・罪証隠滅のおそれの程度、その他身体拘束
により受ける健康上、経済上、社会生活上、防御の準備上の、不利益の程度等を勘案して、裁判所の職権で保釈されるものです。(刑事訴訟法第90条)

□義務的保釈
勾留による拘禁が不当に長くなった場合は、裁判所が義務的に保釈する制度ですが、
義務的保釈はあまり多くありません。(刑事訴訟法第91条)

2 保釈の請求権者
 保釈の請求権者は、勾留されている被告人、またはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族もしくは兄弟姉妹です。(刑事訴訟法第88条)

3 保釈請求の時期など 
 保釈請求の方法は、裁判所に対し書面または口頭で請求しますが、実務では書面にて請求されます。
請求の時期は、何ら制限はありません。
また、請求の撤回について規定はありませんが、保釈許否の裁判があるまでは撤回することができます。

4 保釈請求の失効
 保釈の請求が失効するのは、保釈、勾留の執行停止、勾留の取消しがあったとき、または勾留状の効力が消滅したとき、効力を失います。

5 保釈の条件
 保釈の可否が検討されるときは、まず権利保釈の要件に合致するのか、判断されたうえで、権利保釈が認められない場合は、裁量保釈を認めるべきか、検討されます。

 権利保釈は、被告人の権利として原則的に認められるのですが、以下の6つの除外事由にあたる場合は、認められません。

・死刑、無期、短期1年以上の懲役または禁錮にあたる罪を犯した
・過去に死刑、無期、長期10年を超える懲役または禁錮にあたる罪で、有期判決を受けたことがある
・常習として長期3年以上の懲役または禁錮にあたる罪を犯した
・罪証隠滅のおそれがある
・被害者や証人に対して危害を加える恐れがある
・氏名または住居が明らかでない
   
これらの除外事由に該当する場合は、さらに裁量保釈を認めるべきか、検討されます。   

裁量保釈の考慮の要素としては、
・被告人が逃亡・罪証隠滅を図るおそれの程度
・勾留による身柄拘束で、被告人が健康上、経済上、社会生活上、防御の準備上の不利益の程度 等があげられます。

さらに、事実の認否、共犯者の有無、示談成立の有無、想定される量刑、証拠の状況、保釈の監督環境などを踏まえて、総合的に判断されます。

6 保釈保障金
 裁判官が保釈を認めた場合は、「保釈保証金(保釈金)」を裁判所に納付しなければなりません。(刑事訴訟法第94条第1項)

保釈金の金額には、法律による決まりや相場はありませんが、被告人の裁判所への確実な出廷を担保するため、被告人の経済状況など様々な事情を考慮して決定されます。
保釈金を納付し、保釈されたとしても、所定の条件を破った場合は、保釈金の全部または一部が没収されます。

しかし、条件を守って裁判を受ければ、保釈金は返還されます。
   
保釈が決まったが保釈金が用意できない場合は、一般社団法人日本保釈支援協会による「保釈保証金立替システム」を利用することで、最大500万円までの立替を受けられます。

7 保釈中の制限
裁判所から保釈が認められたならば、保釈の条件として、被告人に対する制限が加えられます。

例えば、
・被告人の生活や行動を監視し、裁判所への出頭を促す身元引受人が存在すること
・裁判所の許可なく、転居、外泊、旅行しないこと
・被害者、証人、共犯者などと接触しないこと

などがあげられます。
   
これらの指定された保釈の条件に違反すると、保釈が取り消されたうえ、保釈金が没収されることがあります。

 以上のとおり、保釈請求は、裁判官に対し保釈を求める理由を明確に示さないと、裁判官が保釈を認めない可能性があることから、経験豊富な弁護士へ依頼することをお勧めします。
   
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィスでは、これまで多数の保釈請求を行い、保釈を勝ち取ってきました。
控訴保釈、上訴保釈などの実績もあります。

保釈させたいと思ったらまずは当長崎オフィスへご連絡下さい。


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