法律相談コラム

2022/04/11

刑事事件の身元引受人について

Q 会社の同僚が刑事事件を起こして、警察で取り調べを受けているようです。身元引受人になってもらいたいと連絡がありましたが、身元引受人とはどういったものですか?

A
1 刑事事件の身元引受人とは
 刑事事件における身元引受人とは、「一度警察に捕まった被疑者が、間違った行動をとらないよう監督する人」のことを言います。
ここで言う「間違った行動」の例として挙げられるのが、逃亡や証拠隠滅、警察署への不出頭、さらなる犯罪行為、被害者へのお礼参り、自殺等があげられますが、被疑者や被告人がこのようなことをしないように監督する人が、身元引受人です。
  
2 刑事事件の身元引受人が必要となる場合
(1)取調べを受けたが逮捕されなかった場合
 警察署で取調べを受けた後、警察が逮捕するまでの必要はないと判断した場合、身元引受人が必要となります。警察から身元引受人に連絡があり、警察署に本人を迎えに行くこととなります。
 微罪処分や任意捜査(在宅捜査)の場合が該当します。

(2)逮捕された後、警察の判断で釈放される場合
  警察に逮捕されたけど、検察に送致されず釈放される場合に、身元引受人に警察から連絡があり、警察署まで迎えに行きます。
痴漢や交通事故、交通違反で現行犯逮捕された場合が多いです。

(3)逮捕されたが、検察官が勾留請求しなかった場合
 警察が逮捕し、すぐに釈放しない場合は、48時間以内に身柄を検察官に送致する手続きとなります。送致を受けた検察官は、逃亡や証拠隠滅の恐れがないと判断した場合は、さらなる身柄の拘束をする勾留の請求をしません。勾留の請求をしなかった場合は、逮捕された被疑者は釈放となりますので、検察官の判断で、身元引受人に連絡され、迎えに行くこととなる場合があります。

(4)裁判官が勾留請求を却下した場合
 検察官の勾留請求に基づき、裁判官が勾留の必要性を判断し、必要ないと判断したならば、勾留却下となり、釈放となります。裁判官が勾留の必要性について判断するにあたって、身元引受人についても考慮されます。

(5)保釈請求をする場合
 刑事事件で起訴されたならば、事案により保釈を請求することができます。保釈を請求するにあたり、身柄引受人を立てることで、保釈が認められる可能性が高くなります。

(6)執行猶予を求める場合
 刑事事件で起訴され裁判になった場合、勾留中の被告人について執行猶予を求める際、身元引受人に情状証人として裁判所に出頭してもらい、今後の被告人を監護する意思があることや、その具体的な監護方法について話してもらい、執行猶予を求めていきます。

(7) 刑務所から仮釈放(仮出所)する場合
 実刑の判決を受け、刑務所に服役した場合、刑期の終わりが近づくと、本人の反省や更生意欲の度合いにより、仮釈放が認められることがあります。仮釈放されるかの判断に、身元引受人がいるかどうかが重要な判断要素となります。
    
3 身元引受人になる条件
 刑事事件の身元引受人になる条件については、法律で定められているわけではありませんが、誰でもよいわけではありません。実務上は、本人を監督するにふさわしい人が身元引受人になります。
 身柄引受人として、ふさわしいと判断される可能性の高い順にお話していきます。

(1)同居の配偶者などの家族・親族
  同居の家族・親族は、最もよくある身元保証人となります。配偶者がいれば配偶者、配偶者がいない場合は両親や兄弟、子どもなど同居の家族が最も理想的です。
同居していることで、日常的に本人とコミュニケーションをとる機会があり、本人を間近で監督することが可能であることから、本人の行動に目が行き届き、監督もしやすく、監督者としてふさわしいものと判断されます。

(2) 同居していない家族・親族
  同居の家族がいない場合や刑事事件になっていることを同居の家族に知られたくない場合に、実家の両親や近くに住んでいる兄弟姉妹が身元引受人となる場合もあります。
同居していないことから、監督の実効性の点で劣るところがありますが、家族であることから問題ないものと思われます。

(3)職場の上司
  一人暮らしや実家が遠方の場合、身寄りがない場合などの時は、職場の上司に身柄引受人になってもらう場合があります。
職場の上司は、日常的に本人とコミュニケーションをとっており、職場の上下関係からも生活指導を受けることができることから、身柄引受人として問題ないものと思われます。
しかし、職場の上司などに身元引受人を依頼すると、職場に刑事事件を犯したことが知れてしまい、職場で何らかのペナルティを受ける可能性がありますので、注意が必要です。

(4) 彼女
 家族や職場の上司にも、刑事事件となっていることを知られたくない場合は、彼女に身柄引受人をお願いすることがあります。
彼女と言っても、様々な関係があり、婚約している彼女や同棲している彼女であれば問題ないものと思われます。

(5)友人、知人
 他に適切な身元引受人がいない場合は、友人や知人に身元引受人になってもらうことがあります。しかし、友人、知人と言っても、日ごろから本人と連絡を取り合っていることが前提となり、単なる知り合いや何年も連絡を取っていない友人、知人は身柄引受人として認められるのは難しいものと思われます。
    
4 身元引受人の役割
 刑事事件における身元引受人の役割は、前にも述べた通り、間違った行動をしないように監督することです。

(1)逃走や証拠隠滅をさせない
 身元引受人の主な役割として、被疑者本人に逃走や証拠隠滅をさせないことです。
被疑者を一人で帰宅させると、どこか遠くへ逃走したり、事件に関する証拠物を処分したり、隠ぺいしたりする可能性があります。
そのため、捜査機関は、被疑者の家族やよく知る人物などに身元引受人となってもらい、逃走や証拠隠滅しないように監視してもらいます。

(2)取調べや裁判に出頭・出廷するように促す
 警察や検察から取調べなどの呼び出しがあった場合は、応じるように促すのが、身元引受人の役割の一つです。
また、起訴された場合は、公判となり、被告人本人が裁判所に出廷しなくてはなりませんので、身元引受人は、裁判所への出廷を促さなくてはなりません。

(3)社会への更生をさせる
 身元引受人は、犯罪を犯した被疑者を更生させる役割も担っています。
特に、窃盗事件や薬物事件などは、再犯性が高いので、病院や更生施設等に付き添うなど、再犯しないように注意するとともに社会への更生の役割も求められます。

5 身元引受人のデメリット
 刑事事件の身柄引受人になった場合、法的にデメリットはありません。たとえ、本人が逃走したり、証拠をいん滅したとしても、身元引受人がそれに積極的に協力していない限り、法的に処罰されることはありません。
 しかし、保釈中、被告人の保釈金を身元引受人が立て替えていた場合に、もし本人が逃走や証拠隠滅をすると、保釈が取り消され、立て替えていた保釈金は没収されます。
 
6 身柄引受人を降りることの可能性
 身柄引受人自体は、法的な制度ではないので、いつでも辞めることができます。
ただし、一度その人の身元引受人を辞めた場合、次にその人の身元引受人になろうとしても認められない可能性があります。
その人が別の身元引受人を立てることが出来なければ、身柄を長く拘束されたり、保釈されなかったりして、不利益な結果となる可能性があります。
 
7 弁護士の身柄引受人
 弁護士であっても、身柄引受人になることは可能です。
弁護士が本人の自首に同行して警察署に行った時、身柄引受人になる場合や、警察からの任意出頭の要請があった時、その前日までに弁護士が警察の担当者に対し、弁護士の身柄請書を送っておく場合等です。
なお、本人が逮捕された時は、弁護士は身元引受人にはなれません。
  
以上のとおり、身元引受人になることに対して、それほど心配する必要はありません。
いつ自分が犯罪者扱いをされたり、犯罪に巻き込まれるか分かりません。
そんな時、頼りになるのが、弁護士です。

 当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィスには、刑事事件に強い、経験豊富な弁護士が在籍しております。
 また当事務所は、刑事事件の専門的な事務所であり、素早い立ち上がりで対応してまいります。
 刑事事件を起こしたり、巻き込まれた方は、まず当事務所にご連絡ください。
    
   
   
   


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