刑事事件

2022/01/03

前科と前歴の違い

以前、警察に逮捕されたり、呼び出しを受け事情聴取されたりしたが、自分は前科前歴がついているのだろうか、と心配されている方も多いと思います。
犯罪歴として、前科、前歴という言葉か使われますが、前科と前歴は同じことと捉えている方も中にはおられると思います。
しかし,実は異なるものです。
前科と前歴はどう違うのでしようか?

①前科とは

前科とは、有罪の確定によって、刑罰の言い渡しを受けた事実のことで、つまり、刑事裁判で有罪判決を受けたことを言います。
前科がつく刑罰は、死刑、懲役刑、禁錮刑のみならず、略式起訴などによる罰金刑や拘留、科料となった場合であっても前科がつきます。
執行猶予付きの懲役刑も前科となります。
勿論、裁判で無罪判決なら前科はつきませんし、検察で不起訴となれば、刑事裁判になることはないので、前科はつきません。

②前歴とは

前歴とは、有罪判決に至らない犯罪歴をいい、つまり、捜査機関に犯罪の嫌疑をかけられ捜査の対象にされた経歴のことを言います。
分かりやすく言うと、何らかの犯罪を犯し、警察に逮捕や取り調べを受けた場合、前歴がつくこととなります。
警察に逮捕されたが、検察で不起訴処分になった場合や警察の判断による微罪処分となった場合も、前歴はつきます。
しかし、警察で始末書を書かされただけの場合は、捜査対象の被疑者として扱われていない可能性がありますので、前歴がつかない場合もあります。
つまり、警察に逮捕・検挙された、微罪処分を受けた、書類送検された、検察で起訴された、略式起訴され罰金刑となった、起訴猶予・不起訴処分を受けたなどの場合に前歴がつきます。
また、逮捕歴、検挙歴という言葉もありますが、前歴のことを指しています。
前歴がついている目安として、警察で取り調べを受けた後、警察の犯罪情報データーベースであなたの指紋や写真を取られた場合には、前歴がついている可能性が非常に高いです。

③ まとめ

前科と前歴についてお話ししましたが、前科がつくことで、一般社会で不利益となることがありますので、前科がつくのを回避するためにも、早い段階での弁護士の対応が必要となります。

刑事事件

2022/01/03

逮捕と検挙の違い

テレビのニュースで、逮捕や、検挙という言葉を耳にしますが、その違いについてご説明します。
逮捕とは被疑者の身柄を拘束することを言い、検挙とは事件を警察で処理したことを言います。
法律用語は非常に複雑であり、日常的に使われている用語も本来の法律用語の意味と異なる場合があります。
法律問題でお悩みの方は、早期に弁護士にご相談ください。 

刑事事件

2022/01/03

逮捕の種類について

よくテレビドラマ等を見ていると、刑事が犯人に対して、「お前を逮捕する」と言って手錠をかけているシーンをありますが、犯人を逮捕するためには、刑事訴訟法等で逮捕の要件等が定められています。

1 逮捕とは

逮捕とは、捜査機関又は私人が被疑者の逃亡及び罪証隠滅を防止するために強制的に身柄を拘束する行為です。
逮捕には、刑事訴訟法上、「通常逮捕」、「緊急逮捕」、「現行犯逮捕」の3つの種類があります。

2 逮捕の種類

①通常逮捕

通常逮捕については、刑事訴訟法第199条1項に、「検察官、検察事
務官及び司法警察員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理
由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕す
ることができる」と定められております。
また、憲法第33条に、「何人も現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となっている犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない」と定められていることから、裁判官の予め発する逮捕状を呈示したたうえで、被疑者を逮捕することをいい、これが原則的な逮捕手続きです。
さらに、刑事訴訟法第199条2項に、裁判官は、被疑者が罪を犯した
ことを疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官又は司法警察員の請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。」と定められています。
通常逮捕を適法に行うためには、検察官又は司法警察員は、事前に逮捕状の請求を裁判官に行い、裁判官が、「逮捕の理由(被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由)」と「逮捕の必要性」を審査し、逮捕状を発布します。
逮捕の理由の「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」(嫌疑の相当性)は、充分な理由より緩やかですが、捜査機関の主観的嫌疑では不十分であり、客観的合理的な嫌疑が必要であり、つまり特定の犯罪が存在し、被逮捕者がその犯罪を犯した可能性が高いことが必要となります。
また、逮捕の必要性については、被疑者が逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがあれば、逮捕の必要性が認められます。
さらに、刑事訴訟法第201条1項に、「逮捕状により被疑者を逮捕するには、逮捕状を被疑者に示さなければならない。」と逮捕状による逮捕の手続きが定められています。
逮捕状を所持していないためこれを示すことができない場合において、急速を要する時は、被疑者に対し、被疑事実の要旨及び令状が発せられている旨を告げて、その執行をすることができます。ただし、令状はできる限り速やかにこれを示さなければなりません。(緊急執行)

②緊急逮捕

緊急逮捕については、刑事訴訟法第210条1項に、「検察官、検察事務官又は司法警察員は、死刑または無期もしくは長期3年以上の懲役もしくは禁固にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる」と定められています。
また、「この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続きをしなければならず、逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない」となっています。
このことから、緊急逮捕の実質的要件としては、「死刑または無期もしくは長期3年以上の懲役もしくは禁固にあたる罪」、「罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合」、「急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないとき」となります。
「死刑または無期もしくは長期3年以上の懲役もしくは禁固にあたる罪」のみ適用されます。
また、「罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合」とは、通常逮捕の要件よりもその犯人である疑いが強いことが要求されます。(嫌疑の充分性)
さらに、「急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないとき」とは、直ちに逮捕しなければ被疑者が逃亡又は罪証隠滅をするおそれがあるため、裁判官から逮捕状を発布してもらう時間がないことです。(逮捕の緊急性)
被疑者の年齢、境遇、犯罪の軽重、態様等も逮捕の判断基準となります。(逮捕の必要性)
緊急逮捕の形式的要件として、緊急逮捕を行うに当たっては、被疑者に対し疑われている犯罪の要旨と急を要し逮捕状を得ることができなかった旨を告げなければなりません。
また、逮捕後直ちに逮捕状の請求をしなければなりません。事案の概要
により時間の長短は一概に言えませんが、おおむね3時間以内とされてい
ます。
逮捕後釈放した場合も、逮捕状の請求が必要となります。
法律的要件ではありませんが、逮捕状が発布されたならば、被疑者に対し、逮捕状を呈示することが妥当とされています。

③現行犯逮捕

現行犯逮捕については、刑事訴訟法第213条に、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる」と定められていますので、私人であっても被疑者を逮捕することができます。
その理由は、通常逮捕や緊急逮捕と異なり、犯罪と犯人の明白性から誤逮捕のおそれがひくいこと及び逮捕の必要性・緊急性の犯人を確保し犯罪を制圧する等逮捕の必要性が高いことから、令状がなくして逮捕することができるのです。
現行犯人とは、刑事訴訟法第212条1項に、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終わった者を現行犯人とする」と定められています。    
また、準現行犯人については、刑事訴訟法第212条2項に、「各号の一にあたるものが、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。」と定められており、
・犯人として追呼されているとき。
・贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる凶器その他の物を所持しているとき。
・身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
・誰何され逃走しようとするとき。
が、準現行犯人の要件となっています。

刑事事件

2022/01/03

微罪処分って知ってますか?

窃盗などの事件を起こし警察に検挙された時、警察官から「今回は、警察限りの処分にします。」と言われたことがある人もいると思いますが、このような処分を微罪処分と言います。
 
微罪処分とはどのような時に適用され、どういうものかについてお話します。
日本の刑事訴訟法において、警察官等の司法警察員は、犯罪の捜査を行ったときには、原則として、その書類や証拠物とともにその事件を検察官に送致(いわゆる送検)しなければならないと規定されています。(刑事訴訟法246条)。
通常の刑事手続であれば、警察から検察へと送致された事件を検察庁が捜査し、検察官が起訴するか否かを決定します。
しかし、刑事訴訟法は、「検察官が指定した事件については送検せずに刑事手続きを終了させることができる」と規定(刑事訴訟法246条ただし書き)されおり、また犯罪捜査規範では、「捜査した事件について、犯罪事実が極めて軽微で、かつ、検察官から送致の手続きをとる必要がないと予め指定されたものについては、送致しないことができるとしている」と規定(犯罪捜査規範198条)されています。
ですから、「検察官へ送致しない手続き」が微罪処分となります。
微罪処分の内容は、法律上「このような場合は微罪処分とする」と言った明確な決まりはありませんが、文献等によると、次のような場合が一般的とされています。

微罪処分とできる事件

① 窃盗、詐罪、横領又は盗品譲受け等に関する事件のうち、次の事項をすべて充足するもの
・被害額が概ね22,000円以下(税込み)である
・犯情が軽微である
・盗品等の返還その他被害が回復されたもの
・被害者が処罰を希望しない
・素行不良者でない者の偶発的犯行で再犯のおそれがない

②暴行事件のうち、次の事項をすべて充足するもの
・犯情が軽微である
・共犯事件でない
・被害者が処罰を希望しない
・素行不良者でない者の偶発的犯行で再犯のおそれがない
                           
③賭博事件のうち、次の事項をすべて充足するもの
・得喪の目的である財物が極めて僅少なもの(賭銭の額が概ね2 2,000円以下)
・犯情が軽微なもの
・共犯者全員が再犯のおそれがない初犯者の場合

上記素行不良者であるかの判断基準は、過去の経歴、前科、前歴、住定の有無等を総合的に判断して決定されます。
また、偶発的犯行であるか否かは、犯行の動機、原因、手段、方法等により判断すべきであり、再犯のおそれの判断基準は、年齢、職業、地位、境遇、前科前歴の回数、時期等の素行、事件の態様、犯行後の改悛の情等、種々の事情を総合して個々具体的に判断しなければなりません。
例えば、5年以内に窃盗の前歴がある者が、占有離脱物横領罪で検挙された場合は、当然、同種の前歴があるものと判断され、原則、微罪処分は不相当と判断されます。
微罪処分は、上記に該当する事件であっても、
1.被疑者を通常逮捕又は緊急逮捕した事件
2.告訴、告発、自主事件
3.法令により告訴を義務付けられている事件
4.検事正が特に送致を指示した事件
5.少年事件  
については、適用はできません。
また、被害者や所有者が不詳な場合も、微罪処分の適用はできません。
これらは、あくまでも一例であり、必ずこのような判断基準で適用されるとは限りませんので、注意が必要です。

微罪処分になったからといって、何も影響がないわけではなく、警察は月に一度、微罪処分の概要を検察庁に報告しており、警察及び検察のデータには残ることになりますので、微罪処分であっても前歴が付く事になります。
このように、微罪処分の可否を決めるのは警察であり、微罪処分にしてもらえると勾留も起訴もされず、前科もつかないので大きなメリットがあります。
前科をつけたくないなどの場合、重い処分を回避すべく早期の対応が重要になってくるため、まずは弁護法人山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィスにご連絡ください。

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