法律相談コラム
2022/02/21
離婚に関するQ&A
Q 私は、夫と離婚しようか迷っています。しかし、離婚後の生活が不安です。どうしたらよいでしょうか?
A 夫との離婚を迷われている方の中には、離婚後の生活への不安があるものと思われます。
そういった中で、夫婦生活の新しい形態の一つとして、「卒婚」という言葉があります。
「卒婚」とは、婚姻状態にある夫婦が互いに干渉することなく、個々の人生を歩んでいくという生活形態です。
婚姻関係は続きますので、離婚ではありません。
今まで夫婦関係が難しくなったら、離婚か、我慢かの二択でしたが、「卒婚」という第三の道として、卒婚となった夫婦は離婚をしないで連絡を取り合いながら、異なったところに住んでいる形や、同居していても家事は別々に行い、お互いが自由に暮らすといった形となっています。
卒婚にも、メリットとデメリットがあります。
まず、卒婚のメリットについて、
➀ 離婚しないので、戸籍上変わらず、世間体も維持できる。
➁ 離婚しないので、夫婦どちらかが亡くなった場合、遺産を相続できる。
➂ 夫婦の共有財産を維持しながら、そのまま同じ家に生活できる。
➃ 法律上結婚しているので、収入の低い方が、生活費を受領できる可能性がある。
➄ 家族でありながらも、お互いに細かい点を干渉されない。
➅ 相談次第で、同居するのも別居するのも自由である。
➆ 子供や親の心を傷つけない。
といった、今までの生活スタイルや環境を維持したまま、干渉し合わない自由な生活を送ることができます。
また、卒婚のデメリットについては、
➀ 離婚と違い、戸籍上夫婦なため、再婚はできない。
➁ 離婚ではないので、恋人ができたら、不貞行為となり、慰謝料を請求される可能性がある。
➂ 法律上はお互いに扶養義務があり、収入の高い方が生活費を支払い続けなければならない可能性がある。
➃ 別居卒婚となると、家賃や光熱費など十分な生活費が必要となる。
➄ 長期間の別居卒婚となると、離婚につながる危険性が高くなる。
といったデメリットもあります。
「卒婚」は法律上の制度がありませんので、夫婦間で具体的なルールを定めないと、双方の認識の差によって関係がますます悪化し、トラブルとなる可能性があります。
そこで、夫婦間で卒婚の取り決め事項について書面化(卒婚契約書)し、お互いに契約書を取り交わしルール化しておくことで、トラブルの防止となります。
とはいえ、夫婦間で取り決めし、書面化した書類でも、民法上「夫婦間の契約はいつでも取り消すことができる」とされています。(民法第754条)
しかし、「卒婚」に関する判例なとは見当たらず、法律上の「離婚」に近い事実状態という点を重視すると、今後、法律的にどのように解釈されるか、これからの社会的な認知度や判例が待たれるところです。
「卒婚」は、夫婦関係の課題を解決する一つの方法です。
離婚すべきか、離婚するにはどうしたらよいかとお悩みの方、配偶者からの暴力やDV、モラルハラスメントなどで悩んでいる方、「卒婚」を考えている方など、お悩みを抱えている方は、当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィスにご相談ください。
当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィスでは、離婚に関するご相談はもちろん、「卒婚」に関するご相談もお受けしており、適切なアドバイスを致します。
当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所の弁護士坪井は、離婚等に関する相談を多数お受けし、解決してまいりました。
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