法律相談コラム

2022/02/10

熟年離婚のメリット・デメリット!

「人生100年時代」と言われている中、会社勤めや子育ても一段落し、残る人生を夫婦で楽しく生きて行こうとお考えの方も多いことと思われます。
しかし残念なことに、近年増えつつあると言われているのが、「熟年離婚」です。

なぜ、長年連れ添った夫婦が離婚してしまうのでしょうか。

今回は、熟年離婚を決意する妻や夫の事情、熟年離婚のメリット・デメリットなどについて、お話しします。

■ 熟年離婚とは
 熟年離婚とは、明確な定義はありませんが、長年連れ添った夫婦が様々な原因から離婚することをいい、一般的には年齢50代以上で、20年以上結婚生活をしてきた夫婦が離婚することを言われています。

■ 熟年離婚する夫婦にみられる特徴
一般的に、熟年離婚の危機にある夫婦には、いくつかの特徴があるようです。

1 普段からあまり会話をしない。
 浮気やモラハラ、思いやりを欠いた言動などが原因で、夫婦の会話がなくなると離婚に発展しやすくなります。

2 お互いに別々の趣味を持っている。
  夫婦が別々の趣味を持ち、それぞれが趣味に没頭していると、夫婦のコミュニケーションの時間が少なくなってしまい、離婚に発展する可能性が高くなります。

3 一緒にあまり出かけない。
  一緒に買い物などに出かけない夫婦は、会話やスキンシップも減少することから、熟年離婚の黄色信号です。

4 定年後も夫が家事を手伝わない。
 働き盛りの夫が、家事に参加しない。参加できないのは、一般的に仕方ないものとみられています。しかし、離婚を希望する妻のほとんどが、夫の家事の参加に不満を持っており、    
  定年退職の後でも夫が家事に協力しないと妻の失望や不満につながり、熟年離婚のリスクが高くなります。 

5 相手の親と昔から仲が良くなかった。
常に離婚理由の上位にあげられるのが、「相手の親との不仲」です。
 昔から相手の親との仲が悪いと、夫や妻はこれまでに数々の我慢を強いられてきています。。
 さらに、親の介護が必要となると、不仲の上に介護という重荷も負うこととなり、熟年離婚を選択する夫婦が増加しています。

■  熟年離婚する夫婦に見られがちな兆候
 一般的に、熟年離婚の危機にある夫婦には、以下のような兆候が見られることが多いようです。

1 夫婦間での会話が少なくなった。

2 相手に感謝を伝えない。 

3 相手に対する悪口や不満が言うようになった。

4 妻が仕事を始めたり、資格を取り始める。

5 一人で外出したり、一人でいる時間が増える。

■ 熟年離婚のきっかけ
 熟年離婚は、妻の方から切り出されることが多いと言われており、以下のようなきっかけで、熟年離婚を決意される方が多いようです。

1 夫の定年退職
 夫の定年退職により、夫婦で過ごす時間が増えてきます。そんな時に夫婦の会話がないと、相手のことがつまらなく思えたり、不満や孤独を感じたりすることで、熟年離婚を決意される方もおられます。

2 子どもの自立、独立
 子どもを育てている間は、子どものために離婚を我慢する方も多く、「子供が就職したら離婚しよう」、「子どもが大きくなるまでは耐えよう」と密かにに考えている方もおられます。
 子供の自立、独立をきっかけとして、熟年離婚を決意される方もおられます。

3 老後資金の見通し
 離婚後の生活資金の不安から、離婚をためらっている方も多く見受けられますが、財産分与の対象となる夫の「退職金」、夫の積み立ててきた年金保険料の一部を受け取れる「年金分割」、
 離婚のために長年こっそりためてきた「離婚資金」など、お金の入るタイミングで、熟年離婚を決意する場合もあります。

■ 熟年離婚の原因

1 性格の不一致
 「性格の不一致」は、通常の離婚でも原因としてよく挙げられています。
 熟年離婚の「性格の不一致」は、結婚当初から気付いていながらも、ずっと我慢していたという場合や、定年後一緒にいる時間が長くなったことから、気付いたというケースもあります。

2 モラハラやDV
 言葉や態度などで相手に精神的な暴力を加える「モラハラ(モラルハラスメント)」や肉体的な暴力を振るう「DV(ドメスティックバイオレンス)」が原因で、熟年離婚するケースも見受けられます。

3 異性関係(浮気・不倫)・性的不満
  相手の浮気や不倫などの不貞行為(配偶者以外の異性との肉体関係)の発覚により、相手に対する信頼関係が失われてしまいます。
  また、長年のセックスレスにより夫婦のスキンシップが減ることで、お互いの愛情が薄れていくのが原因となります。

4 価値観の違い
価値観の違いには、「金銭感覚の違い」、「趣味に対する理解」、「優先順位や大切に思っているものの違い」などがあります。

5 相手の親の介護や同居
  嫁姑問題や相手の親族との関係の悪化、相手の親の介護問題で、長年溜まりに溜まった不満が爆発し、熟年離婚の原因となります。

※思い当たる方は、熟年離婚にならないためにも、心がけてみてはどうでしょうか。

■ 熟年離婚のメリット

1 結婚生活による悩みから解放される。
  長年夫婦生活をしていると、相手に対する不満や悩みが多かれ少なかれあることで、それがストレスとなって蓄積されています。そうしたストレスを熟年離婚によって、残りの人生、
  ストレスなく自分らしく生きることができるという点です。

2 相手や相手の親の介護をしなくても済む。
  結婚生活で、相手に対する積もりに積もった不満の思いがあれば、相手の介護やさらには相手の親の介護を拒否したくなります。そこで、介護問題が生じる前に熟年離婚を決意されることで、解放される点です。

3 相手の親や親戚とも縁が切れる。
  結婚生活では、相手との関係だけではなく、相手の親や親族などとの関係に悩まされている方が多いいと思われます。そういった関係にも悩まされなくなる点です。

4 自由に恋愛したり、再婚したりできる。
  嫌な相手と結婚生活を続けるよりか、熟年離婚することで、自由な生活が得られ、自分らしく生きることができます。
昨今、熟年同士の出会いの場も増えてきており、生活だけでなく、恋愛も自由にできる点です。
 
■ 熟年離婚のデメリット
  熟年離婚には、大きなデメリットを伴う場合がありますので、後で後悔しないためにも熟年離婚によるデメリットを確認する必要があります。

1 離婚後の経済的な問題
  熟年離婚で一番後悔するのが、金銭面に関することです。
  特に、これまで専業主婦だった妻は、離婚後の生活費や老後資金などの金銭面の不安が出てきますので、経済的に困る可能性があります。
  財産分与や慰謝料をもらって離婚したとしても、もとの財産が少なければ、もらえる金額も少なくなってしまいます。
  年金分割を受けても、月々の生活費に困る方が多数おられますので、離婚後のお金に関する生活設計をしっかりと立てておく必要があります。

2 生活面における孤独感
  熟年離婚に踏み切ったことで、一人で生活することになり自由を感じているかもしれませんが、その反面、孤独を感じることも多くなります。
  子どもや友人と関わりがあれば良いのですが、子どもがいなかったり、疎遠であったり、友人付き合いもしていない方は、孤独感を感じてしまうことがありますので注意が必要です。

3 病気や介護を頼れる人がいない
  熟年離婚すると、病気や怪我などを負った際や介護を受けるようになった際に、助けくてれるパートナーがいなくなる可能性があります。
  子どもがいれば頼れるかもしれませんが、余計な負担をかけてしまいます。  

4 離婚後の家事の問題 
  長年、妻に家事を任せきりにしていた夫は、熟年離婚によって、一人暮らしを余儀なくされると、食事や洗濯、掃除等の家事が滞ってしまいます。

■ 熟年離婚の準備
  熟年離婚にはデメリットを伴う可能性があり、感情だけで離婚してしまうと、離婚後必ず後悔することとなります。
  熟年離婚をスムーズに進めるために、綿密な準備をしておく必要があります。

1 財産分与の確認
  離婚後に金銭面で困らないためにも、離婚すると、どのくらい財産分与が受けられるのか、確認しておきましょう。
  結婚期間が長ければ長いほど、夫婦間で形成した財産も多額になることから、不動産、投資信託、退職金、預貯金、年金などについて、事前に調べておきましょう。
  また、離婚前に長期間別居している場合は、財産分与の対象とならない場合がありますので、注意が必要です。

2 慰謝料の請求の検討
   熟年離婚の原因が、相手方の不貞行為やDV、モラハラなどの場合には、慰謝料を請求できる可能性があります。

3 年金分割制度の確認
専業主(夫)だった場合は、熟年離婚後の受け取れる年金は、国民年金のみとなる可能性がありますが、配偶者が厚生年金や共済年金に加入していたならば、
年金納付実績の一部を分割して年金を受給できる「年金分割制度」があります。
   年金分割制度を受けるには申請が必要であり、その申請期間も、離婚日の翌日から2年間となっています。
熟年離婚後、金銭面で困らないためにも、年金分割制度を利用しましょう。

4 子どもとの関係を確認
  熟年離婚の場合は、子どもは成人している場合が多いと思われますので、離婚に伴う、親権や養育費が問題となることは少ないと思われます。
   しかし、離婚後の生活の面倒や親の介護など、子供に負担をかけてしまう可能性から、子どもと話し合っておくことが必要です。
  
■ まとめ
  熟年離婚には、メリットとデメリットがありますが、離婚するには気力・体力が必要であり、感情で判断すると、離婚後に後悔することにもなりかねません。    
   後悔のない老後の人生を歩むためにも、熟年離婚は慎重に検討しなければなりません。
   そこで、法律の専門家の弁護士に相談することで、離婚に関する適切なアドバイスを受けることができます。
   経験豊富な弁護士が、丁寧にお話をお聞きし、「離婚すべきか」「離婚するにはどうしたらよいか」「離婚後の財産分与、年金関係」「慰謝料を請求するにはどうしたらよいか」等、
   離婚後の人生に後悔をしないための、最善のアドバイスを致します。

 熟年離婚をしようかとお考えの方、お悩みの方は、まず、当弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィスにご連絡ください。

 弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所長崎オフィスでは、長崎市内のみならず、佐世保市、大村市や離島の方々からのご相談をお受けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。
   
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