刑事事件
2022/01/03
起訴と不起訴の違い
日本の刑事事件における裁判有罪率(起訴された際に裁判で有罪となる確率)は99.9パーセントと言われています。
つまり、起訴されるとほぼ100パーセントに近い確率で有罪となっているのです。
①起訴とは
起訴とは、検察官が特定の刑事事件について、裁判所の審判を求める意思表示を言います。検察官は捜査結果に基づいて、その事件を起訴するかどうかを決めます。起訴する権限は、検察官のみが有しているのです。
検察官が起訴することを相当と考えて、裁判所に起訴状を提出し、公訴を提起すると刑事事件の裁判手続きが開始します。
「略式起訴」という言葉を聞いたことがあると思いますが、略式起訴とは、公判手続きを行わず、罰金または科料を科す手続きのことです。
②不起訴とは
不起訴とは,検察官が特定の刑事事件について,裁判所の審判を求める必要がないと判断した場合には、不起訴となります。
検察官は、事件捜査後、必ず起訴しなければならない訳ではありません。
被疑者が罪を犯したとの疑いがない、あるいは十分ではないと判断した 場合は起訴しないのです。
不起訴の理由として、「嫌疑なし」、「嫌疑不十分」、「起訴猶予」があげられます。
「嫌疑なし」とは、捜査結果、被疑者に対する犯罪の疑いがないという場合です。真犯人が見つかったり、被疑者の確実なアリバイがあったりした場合に、嫌疑なしとなります。
「嫌疑不十分」とは、捜査結果、犯罪を起こしている疑いはあるが、犯罪の証明に十分な証拠がなく、起訴しても有罪に持ち込めないと判断した場合です
「起訴猶予」とは、犯罪を証明するだけの十分な証拠があり、嫌疑が十分であっても、犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重並びに犯罪後の情状により訴追を必要としないときは公訴を提起しない場合です。
また、「被疑者死亡」、「親告罪の告訴取消し」、「時効完成」及び「心神喪失」なとの場合も、不起訴処分となります。
③ 処分保留
処分保留で釈放されることがありますが、処分保留とは、起訴、不起訴を判断するための十分な証拠が揃わなかった場合、起訴、不起訴の判断を保留したまま被疑者を釈放することです。
処分保留と嫌疑不十分は非常に似ていますが、刑事手続きの期限を超えたのであれば「処分保留」、期限前に能動的に不起訴の処分が下されれば「嫌疑不十分の不起訴」となります。
処分保留の場合は、十分な証拠が揃えば、起訴されることもありますが、実際には、不起訴となる場合が多いです。
④まとめ
刑事事件では、起訴されるのと不起訴となるのでは、天と地の差があり、生涯において人生を左右されることとなりますので、起訴を回避し、不起訴となる確率を上げる必要があります。
犯罪を犯してしまい、警察から呼び出しを受けている方、逮捕されるかもしれないと心配されている方、家族が逮捕されている方などは、早期の段階から弁護士に依頼することをお勧めいたします。