成年後見

弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所では、

などの相談が多く寄せられています。
認知症などによる判断能力の低下により、財産の管理、不動産の売却や賃貸、遺産分割、債務整理等、様々な法律行為をご自身で行えない状態となってしまうと、ご本人にとってもご親族の方にとっても不安な状況になります。

このような場合に活用できるのが成年後見制度です。
成年後見制度とは簡単に言えば、判断能力が低下してしまい、ご自身で契約を行うことに不安がある、あるいは契約や財産の管理ができなくなってしまった方について、ご本人やご家族が裁判所で手続きを行うことで、裁判所がご本人に代わって様々な手続きを行う代理人を選任してくれる制度です。

当事務所では、これまでに多くの後見申立案件を扱っております。
中には緊急の案件もあり、早い時にはお話を聞かせていただいてから2週間ほどで申立を行うこともあります。
この制度については一般的には理解が難しい部分があり、利用をためらわれている方も多くおみかけしております。
まずはどんな制度か知ってみたいというご相談でも構いませんので、是非一度当事務所の長崎オフィスにお気軽にお問い合わせください。

ここでは、成年後見制度について簡単に説明します。

1 成年後見制度とは

成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々が、身のまわりの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約などをご自身で契約をすることに不安がある、不動産や預貯金などの財産の管理や遺産分割の協議などの相続手続きができなくなってしまった、自分に不利益な契約をよくわからないまま結んでしまい、悪質商法の被害にあうおそれがある方などについて、法的に保護し、支援する役割を持つのが成年後見制度です。

2 成年後見制度の種類

成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。

(1)法定後見制度

ご本人の判断能力が不十分になった後に、家庭裁判所によって、成年後見人等が選ばれる制度です。
裁判所に後見等の開始の申し立てを行う必要があり、申し立てをすることができるのは、いずれも本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市町村長となっています。

「成年後見」、「保佐」、「補助」の制度がありますが、判断能力の程度など本人の事情に応じて制度を選べるようになっています。

①成年後見
判断能力が欠けていることが通常の状態の方について、家庭裁判所が後見開始の審判を行い、本人を援助する人として成年後見人を選任します。
成年後見人は、被後見人(ご本人)に代わって財産の管理や法律行為を行う代理権と,被後見人が自ら行った法律行為については、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き、これを取り消すことができる権限(取消権)が与えられます。
成年後見人は、その職務を行うにあたっては、本人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活状況に配意しなければなりません。

※代理・取消権
代理権の対象となる「財産に関する法律行為」とは、

と解されています。
なお、代理に親しまない遺言・身分行為(婚姻、認知等)等の一身専属的に行為については代理権の範囲に含まれません。

※財産の管理権
財産の管理とは、財産の保存・維持及び財産の性質を変更しない利用・改良を目的とする行為並びに処分行為のことを言います。
いずれの場合も判断能力の鑑定において、原則医師の鑑定が 必要となりますが、明らかにその必要がないことがわかる場合には、例外的に鑑定を要しないとなっています。
保佐と同様、本人が医師や税理士等の資格や会社の役員、公務 員などの地位のある方に対し、後見人が選任された場合は、その資格が喪失することになります。
家庭裁判所は、成年後見人に対し必要と認めるときは、職権に より成年後見監督人を選任することができるとされており、またいつでも成年後見人に対し、後見の事務の報告もしくは財産目録の提出を求めたり、後見人の財産状況を調査したりすることができ、後見人の財産管理その他後見の事務について、必要な処分を命ずることができます。

②保佐
一人で判断する能力が著しく不十分な方について、家庭裁判所への申し立てにより,家庭裁判所は保佐開始の審判をして、本人を援助する人として保佐人を選任します。
保佐人は、借金(金銭消費貸借契約の締結)、保証人の受諾(債務保証契約の締結)、不動産の売却、通信販売(インターネット取引を含む)及び訪問販売等による契約の締結などの行為において、同意権や取消権が与えられていますが、代理権については、家庭裁判所への申し立てにより、家庭裁判所が定めた範囲で与えられることがあります。
同意権とは本人の行為に保佐人の同意を必要とする権利です。
本人以外の代理権付与の申し立てについて、本人の同意が必要となります。
本人が医師や税理士等の資格や会社の役員、公務員などの地位にある方に対し、保佐人が選任された場合は、その資格が喪失することになります。

判断能力の鑑定には、原則医師の鑑定が必要となります。
家庭裁判所は、成年後見人に対し必要と認めるときは、職権により成年後見監督人を選任することができるとされ、またいつでも成年後見人に対し、後見の事務の報告もしくは財産目録の提出を求めたり、後見人の財産状況を調査することができ、後見人の財産管理その他後見の事務について、必要な処分を命ずることができます。

③補助
一人で判断する能力が不十分な方について、家庭裁判所への申し立てにより、家庭裁判所が補助開始の審判をして、本人を援助する人として補助人を選任します。
補助人は、代理権、同意権、取消権が与えられていませんので、家庭裁判所に申立てを行うことで、家庭裁判所が定め た範囲で権利が与えられることがあります。
補助審判の開始の申し立てに合わせて、補助人にどのような範囲までやってもらいたいかを特定したうえで、申し立てる必要があります。
補助審判の申し立ては、本人自ら申し立てるか、本人以外の場合は、本人の同意が必要です。
判断能力の鑑定については、原則医師の鑑定は必要ありません。

(2)任意後見

任意後見とは十分な判断能力のある方が、将来判断能力が不十分になった場合 に備えてあらかじめ任意後見契約を結んでおき、判断能力が不十分になった時に、その契約に基づいて任意後見人が本人を援助する制度です。
任意後見の契約は、公証人の作成する公正証書によって結ぶものとされており、ご本人の判断能力が低下した場合に、家庭裁判所に任意後見監督人選任の申し立をし、任意後見監督人の審判が確定すると初めて任意後見受任者は任意後見人となります。
任意後見監督人を通じて、間接的に家庭裁判所が任意後見人を監督することにより、本人の保護を図っています。
任意後見監督人の選任の申し立てができるのは、任意後見契約の本人及びその配偶者、四親等以内の親族、任意後見受任者となっていますが、原則、本人以外が申し立てを行う場合には、本人の同意が必要です。
任意後見人になるためには資格は必要なく、家族や親戚、友人、弁護士や司法書士等のほか、法人と契約を結ぶこともできます。
また、複数人にすることも可能です。
ただし、未成年者、成年後見人等を解任された人、破産者で復権していない人、行方不明の人、本人に対して訴訟を起こし又は起こされた者及びその配偶者並びに直系血族などに該当する人は、任意後見人になることができません。
任意後見の契約は、本人または任意後見人が死亡・破産すると契約は終了します。また、任意後見人が認知症等により被後見人等になった時も、任意後見契約は終了します。
さらに、任意後見人に不正行為、著しい不行跡、その他任務に適しない事由がある時は、家庭裁判所は任意後見人を解任することができます。
解任請求ができるのは、任意後見監督人、本人、その親族,または検察官です。
任意後見人は、選任前であれば公証人の認証を得て、いつでも契約をを解除することができますが、選任後は,正当な事由がある場合に限り、家庭裁判所の許可を得て、契約を解除することになります。

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